1=2の証明

みなさんは$1=2$であることをご存知だろうか。「何を言っているのだ彼は」「大丈夫かこの塾」と思う人もいるかもしれない。そこで、誰の目にもハッキリわかるように、$1=2$である事を証明してみよう。

その前に簡単なテストを用意した。

$1+1=?$

「$2$に決まってるじゃないか!」という声が聞こえてきそうだが、慌てないで聞いて欲しい。実は$1+1$は$1$なのだ。

証明

まず、二つの変数$a,b$を用意し、次のような等式を立てる。

$a = b$

両辺に$a$をかける

$a^2 = ab$

両辺から$b^2$を引く

$a^2-b^2 = ab-b^2$

両辺を因数分解する

$(a+b)(a-b) = b(a-b)$

そして、両辺を$(a-b)$で割る

$a+b = b$

ここで、$a=b$であった事を思い出していただき、$b$を$a$に代入すると

$b+b = b$

左辺を計算し、両辺を$b$で割ると

$2=1$、すなわち$1=2$(証明終)

これはまた、$1+1 = 1$であることも示している。何か変わった操作をしているわけでもないのに、不思議ではないだろうか?

0で割るな!

種明かしをしていこう。

$a = b$
$a^2 = ab$
$a^2-b^2 = ab-b^2$
$(a+b)(a-b) = b(a-b)$

までは問題ない。次の、両辺を$(a-b)$で割るという操作が問題なのだ。思い出して欲しい。最初の条件は$a=b$である。$a=b$であるということは、$a-b$は$0$であると言うことに等しい。すなわち$(a-b)$で割るということは、$0$で割るということになってしまうのだ。

数学では、$0$で割るという計算は出来ないことになっている。”答えがない”とかではなく、$0$で割るという操作事態を行ってはいけないのだ。伊坂幸太郎の小説では「$0$で割ると世界が変わる」と表現しているが、まさにその通りであり、$0$で割ることにより、今回の証明のように$1=2$という誤った結果が導き出されたりする。実際にコンピュータ上で$÷0$を入力すると、エラーが表示される。

6÷0とコンピュータに入力した際のエラー

なぜ$0$で割ってはいけないのか。試しに次のような数式を用意しよう。

$$\frac{5}{0} = x$$

$\frac{5}{0}$が$x$という数で表せるとする。この式を変形すると

$5 = x \times0$

となる。しかし、この数式を満たす$x$は存在しない。なぜなら、どんな数も$0$をかけたら$0$になるので、$x$がいかなる数であろうと$5$にはならないからである。
つまり、$$\frac{5}{0}=x$$となる数$x$は存在しないことになる。答えが存在しないから、数を$0$で割ることはできないのだ。

もう一つの証明

$1=2$は誤りだった…、と嘆いている皆さんに朗報がある。別の方法でも$1=2$は証明できるのだ。それは、ジャグリングを使った証明である。

ジャグリングの技はとてつもなく多く、全ての技に名前をつけるのは不可能なのだ。そこで、「サイトスワップ」というボールを投げるリズムを数字として表したものを使っている。

$3$
$441$
$7531$
$744$

などのジャグリングの技がある。まずは以下のサイトにアクセスして欲しい。

http://yuji-k64613.github.io/jmjs/siteswap_editor.html

juggleボタンの下に数字を入力してjuggleボタンを押せばジャグリングが始まる。試しに”$3$”と入力してjuggleボタンを押してみて欲しい。ジャグリングの基本技であるカスケードが始まるだろう。

次に”$531$”と入力して技の動きをみて欲しい。
次に”$315$”と入力して技の動きをみて欲しい。

どうだろうか。”$531$”も”$315$”も同じ動きをしていないだろうか。つまり次の数式が成り立つ。

$531=315$

両辺から$423$を引いて

$108 = -108$

両辺を$108$で割って

$1=-1$

両辺に$3$を足して$2$で割り、両辺を入れ替えると

$1=2$

証明終

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