皆さんは円の面積を求めることができるだろうか。小学6年生ならば「半径×半径×3.14!(または半径×半径×円周率)」と答えてほしいし、中学生以上の人は「π r 二乗ですね」と答えてほしい。
しかし、ではなぜ円の面積が「半径×半径×円周率」(以下これで統一する)で求めることができるのか、と言われると、説明に困るのではないだろうか。
そこで今回、円の面積の求め方を、分かりやすいようにピザを使って説明したいと思う。
まず、ピザを一枚用意する。
スーパーで売ってるような普通のピザで構わない。種類はなんでもいいが、今回はマルゲリータを用意した。
とりあえず直径を測ろう。このピザは直径が22cmである。このことから、円周(円の周りの長さ)は「22×3.14=69.08」となる。
実際にメジャーで長さを測ると約70cmである。
次にピザを8等分に切り分ける
8等分に切るときは2等分→4等分→8等分、となるように切るときれいに切ることができる。ちなみにこの段階でピザを焼いた。
ではここからピザの面積を求めよう。
8等分したピザを見ると、おうぎ形をしていることが分かるだろう。ならばおうぎ形の面積を求めてしまえば、ピザの面積が求められる。「ピザ一切れ(おうぎ形)8個の面積=ピザ(円)の面積」ということだ。
おうぎ形の面積を求めるためには、三角形と同じで底辺の長さと高さが必要である。(厳密には底辺という表現はしないが、分かりやすくするためこの表現を使う)底辺は円周を8等分した値、高さは半径である。
さらに、ピザを直線に並べてみよう。
一番左のピザ一切れから順に面積を求めていって
底辺×高さ÷2+底辺×高さ÷2+底辺×高さ÷2+底辺×高さ÷2+底辺×高さ÷2+底辺×高さ÷2+底辺×高さ÷2+底辺×高さ÷2
がピザの面積である。しかし計算が面倒なので、底辺の長さをすべて足してから、”×高さ÷2”をする。計算式にすると次のようになる。これは上の式を×高さ÷2でくくりだした式になっている。
(底辺+底辺+底辺+底辺+底辺+底辺+底辺+底辺)×高さ÷2
次にこの(底辺+底辺+底辺+底辺+底辺+底辺+底辺+底辺)の部分、これは円周と等しい。今回はたまたま8等分しているが、何等分しようがこの部分が円周に等しくなる。円を切ってそれを直線に並べているだけだからだ。
書き換えると、ピザの面積を求める式は次のようになる。
ピザの面積=円周×高さ÷2
さらに、高さに当たる部分は半径と等しかったため、式をさらに書き換えることができる。
ピザの面積=円周×半径÷2
さらに、円周=直径×円周率で求められることを思い出して、式を書き換える。
ピザの面積=直径×円周率×半径÷2
最後に直径=半径×2なので、書き換える。
ピザの面積=半径×2×円周率×半径÷2
これを計算して並び替えると、お待ちかね、ピザの面積を求める式が現れる。
ピザの面積=半径×半径×円周率
すなわち円の面積=半径×半径×円周率である。
念のため2通りの方法でこのピザの面積を求めよう。
まずはせっかく求めた円の面積の公式に当てはめる。
直径22cm,半径11cm , 円周率=3.14とすると、
11×11×3.14=379.94 平方cmである。
次に8等分したピザ一切れの面積を求める。底辺=円周÷8=69.08÷8=8.635cm , 高さ=半径=11cmなので、ピザ一切れの面積は
8.635×11÷2=47.4925
となる。ピザ全部の面積はピザ一切れ×8なので
47.4925×8=379.94平方cmだ。
どちらの方法でピザの面積を求めてもぴったり一致している。素晴らしい。
円の面積なんて公式を覚えておけばいいんだよ!と言う人もいるかもしれない。しかし数学ではなぜこの公式で求められるのか、といった根本的な部分は大切だ。実際、大学入試では、公式の成り立ちの説明がそのまま問題になっているものもよく見る。公式がどのように導かれるか、というのは円の面積の公式に限らず、いろいろな場面で役立つので、ぜひ頭の片隅に入れておいてほしい。(ただし学校で習う範囲の知識では説明できない公式(例:球の体積)などもある)
ということで、今後ピザを食べる際は、円の面積の求め方を家族や友人に説明してあげよう。きっと喜ばれることだろう。